【書評】みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト
これはやばそうな本が出たぞ。というワクワク感で買ったものの、 amazonの評価を見るとそうでもない感じだった。
同じようなレビューが複数存在していて、なんか著者はみずほ銀行に忖度しているのかと思ってしまったが、 とりあえず読んでみることにした。
結果的にはレビューの通り、罵詈雑言が飛び交うものでもなく、現場の荒れ果てた状況が語られるわけでもなく、どちらかというと、すごいシステムを作り上げたという評価に近いものであった。
本は3部構成になっており、 1部が最近完成したMINORIというシステムについて、2部は東日本大震災直後のシステム障害について、3部は統合後の最初のシステム障害についてである。
2部、3部についてはいろいろ問題があって起こるべくして起きたと語っているものの、1部のMINORIについては、35万人月、4000億以上のコストをかけたすごいプロジェクトを成し遂げたんだ。という内容になっており、拍子抜けだった。
技術者であれば、人が増えることで一人あたりのパフォーマンスは下がることは経験的にわかるはずで、これだけの人数が携わっているならそれはもう想像しただけで恐ろしいと思うのだが、なぜかその苦難というのがあまり語られていない。過去の失敗から学び、大きな問題なく完成させたぞ、みうほは銀行の中でもリードしているのだ。みたいな。
まあ実態は違うんだろうけど、それでもまあここに語られていることが全てならば、予想していたよりもよいものができているんじゃない?と思ってしまう。
- ブラックボックスの排除
- 経営陣のIT軽視、IT理解不足の解消
- IT理解不足の場合は、ソフトウェアが障害の原因なのにハードウェアベンダーの責任を問うなど見当違いが発生する。
- SOAを採用
- APIゲートウェイの採用
- AS IS(現状のまま)の要件定義を完全排除
- Xuppterを使って、「あるべき業務フロー」をゼロベースで検討
- 超高速開発ツールを採用し、属人化を排除
- Fintechとの連携を想定し、コア部分は自前、それ以外はオープンAPIを利用
まあ、言うは易く行うは難しだと思うので、MINORIが完成したことはすごいとは思うし、障害が発生しないで星いと思うばかりである。