遙かなるマチョジニア

マッチョXエンジニアを目指すブログ

最新システムを手っ取り早くキャッチアップしたいエンジニアのための必読書

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【第1章 アプリ開発の最新手法】
1-1 デジタルシフトを急げ
1-2 エンハンス開発最前線
1-3 マイクロサービスの現実解
1-4 ゼロから理解する「クラウドネイティブアプリ」
【第2章 AI&IoT活用の最前線】
2-1 AI導入はじめの一歩
2-2 徹底解剖 AIシステムはこう作る!
2-3 らくらくIoT最前線
【第3章 最新クラウド活用術】
3-1 基幹系もクラウドへ
3-2 3大クラウド徹底比較
3-3 沸騰!マルチクラウド
【第4章 デジタル化で変わるプロジェクト管理】
4-1 さらばQCDプロマネ
4-2 全員リーダーのチーム

1章

アプリ開発における最新手法を実際に動いているシステムをもとに紹介しています。また、既存のモノリシックなシステムをどうやってエンハンスしていくかについても書かれています。とくに、大事なのがまず現状分析から始めること。あたりまえですが、何が問題でどう改善するのかは現状分析をしない限り不可能で、ここを怠って最新手法に飛びつくといい結果は得られません。

2章

AIいやIoTをどうビジネス化するかの話や、どういう基盤を作るかの話です。特にRettyの話は僕が担当している案件と同じような話なので参考になりました(やっぱりコンテナ使ってたから間違っていなかったんだと安心しました)。また、IoTについても、低コストでなにか始めるためのヒントが書かれていました。

3章

クラウドがもはや当たり前になっているという話です。 クラウドという言葉が出てきた当初は、セキュリティ面などから採用を見送った会社が多いけど今は違います。AWSアメリカ政府御用達だし、NASDAQでも使われているくらいセキュリティ強度が高いです。SLA99.99%の稼働時間です。 それでもなお、故障は絶対に起きるという前提でシステムを構築すべきだと書かれていました。「100%」だとか「完璧主義」だとかは時代錯誤で、そんな妄想を抱いていると痛い目にあうということです。

4章

この章が意外にも面白かったです。QCDはもはや古いという大胆な表現のもの、あたらしいプロマネのあり方について説明していました。というのもPMBOKが5年ぶりに改定して6版となり、そこでいろいろ改定がおきたそうです。 その中では、

QCDばかりに注力するのではなく、ビジネスの目的を達成するためにプロジェクト全体をうまく調整できるプロジェクトマネージャになるべき

と書かれており、「品質保証」や「クリティカルチェーン法」が消えているそうです。 従来型と新型の違いは下記の通り(本書抜粋)。

従来型のQCDプロマネ PMBOKガイド6時代のプロマネ
基本の考え方 計画通りのものを着実に作る 臨機応変にビジネスの目的を満たす
品質 不具合件数などの計画を立てて守り、稼働後の保守コストを抑える ビジネスへの影響度に応じて必要な品質をその都度決める
コスト 手戻りなどの無駄なコストの発生を防ぐ ビジネスで価値が高い機能の開発コストは投資と捉え、手戻りなどのコスト増加を許容する場合がある
納期 納期順守に最善を尽くす ビジネスで価値が高い機能は順守し、それ以外は柔軟に変更する
スコープ 品質、コスト、納期の目標を危うくする追加要求はなるべく受けない ビジネスの優先順位に応じて開発対象を柔軟に入れ替える

個人的には、新型の目標を達成するために従来型があったのに、それがいつのまにか手段ばかり大事にされてきて本来の目的を失ったから最初に戻しますって言っている気もします。だから「柔軟に」とか「臨機応変に」とか、これは曖昧な表現で(PMBOKにはちゃんと書いてるかもしれませんが)、悪く捉えると行き当たりばったりになりそうです。ただ時間の流れが早くなっているのも確実で、従来型みたいにきちっとやっていたらビジネスチャンス失うっていう意味もあるのではないでしょうか。

他にも4章ではプロジェクトチームの話が書かれていて、チーム内で影響力を発揮できる人物であるかどうかのチェックシートがありました(本書抜粋)。

仕事がデキル度 仕事で成果が出せている
この分野ならXXさん、といえる強みを持っている
人に自身のやり方、スタンスを模倣される(尊敬され、モデルになっている)
行動力がある(フットワークがかるい)
コミュニケーションスキルが高い
本人のハッピー度 仕事を楽しんでいる
成長意欲が高い
精神的にタフである
評価を気にしすぎない(評価のために何かをする、という様子が見えない)
いつもご機嫌で前向きだ
好かれ度 自分と一緒に仕事する人は、モチベーションが上がる
人の良いところを見る
人に好かれる/人間的魅力がある
人の心理に対して配慮ができる
一緒にいて気持ちが良い
柔軟度 発想が柔軟である
外を知っている(社外志向である)
情報収集力が高い
変化やトラブルに強い
どんな人の考えも受け入れることができる
ビジョナリー・リーダー度 ビジョナリーである/夢を語れる
自身の考え、判断基準を持つ
指示待ちでなく、自ら考えて動く
視点が個人最適でなく全体最適で、チームや組織のことを考えて動く
自身の振る舞いが周囲にどのように影響するかを知っている(メタ認知能力が高い)

まとめ

全体をざっと読むだけでも面白いし、なにか課題にぶち当たったときに他社がどうやっているかヒントを得ることができる本です。また、「最新」は今だけでいずれレガシーになりますが、新しいことを知っていおくことに損はないし、知識の裾野が広がって良いと思います。 たとえばクラウドだけ取っても、「クラウドはセキュリティ面でNG」だったのが「セキュリティを確保するためにクラウドを利用する」に変わっている世の中で、クラウドに関する知識や考え方がない人が急にクラウドベースだと言われてもパニックになるだけです。急速に変化する時代の流れに必死についていくことは、大切だと思います。