感想 突破するデザイン
突破するデザイン あふれるビジョンから最高のヒットをつくる
- 作者: ロベルト・ベルガンティ,安西洋之,八重樫文(監訳),立命館大学経営学部DML
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/06/29
- メディア: 単行本
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イノベーションについての本ですが、 一般的に扱われているイノベーションは「問題解決のイノベーション」のためにあって 最近、人々から愛されているモノやサービスは、「意味のイノベーション」から始まる、という主張を記した本です。
問題解決のイノベーションは、問題に対するソリューションであり、
- 外(ニーズ)から内へ
- ブレスト
- 質より量
という特徴があります。 ただし、世の中にはオープンイノベーションやクラウドソーシング等、 アイデアが溢れかえっていて問題解決のイノベーションの重要性は薄れています。
一方で意味のイノベーションは、サービスやモノの意味そのものを変えることであり、
- 内から外へ
- 批判精神(ここで言う批判とは、ビジョンをより強固にするための止揚のこと)
- 量より質
という特徴があります。 これは、個人から生まれる信念から始まり、信頼できる少人数からの批判により 確固たるビジョンになり多数を巻き込むような方法論によって実現されます。 意味のイノベーションで確固たるビジョンが出来上がったら、問題解決のイノベーションで社会実装するという流れです。
意味のイノベーションの事例として、ロウソクは、一般的なイメージでは電気に置き換わって売上が減少しているように 思われますが、実際は(企業によるが)売上が増加しています。 それは、「電力がない場合に照らす必要がある」という意味から、「お客さんを歓迎する雰囲気を作る」という意味に 変わったからです。
他にも、AirbnbやSpotifyなどの企業がどう意味を変えてきたか、事例を交えながら、 その方法論やルールについての説明が具体的に記されています。
タイトルの「突破するデザイン」については、和訳ですが 「デザイン」の本来の意味は【審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものである。】 であり、イノベーションにより愛されるモノやサービスを生み出すための計画的行為のことを指しているんだと思います。