ヒメアノ~ル感想(少しネタバレ) 原作漫画に勝てるのか?
ヒメアノ~ル観てきました。
あらすじ(wikipediaより)
岡田進は清掃会社で働きながらも、漫然と過ぎていく時間に不安と孤独を募らせていた。そんな中、岡田は同じ清掃会社で働く、更に冴えない先輩の安藤勇次とひょんなことから仲良くなる。 安藤はコーヒーショップ店員の阿部ユカに恋をするようになっており、岡田は止めたが安藤の恋心は止まらず、岡田は安藤の恋の手助けをする中で皮肉なことにユカに告白され、付き合うことになってしまう。多少のトラブルはありつつも岡田たちの日常はぐだぐだと過ぎてゆく。 しかし岡田たちの恋愛劇の裏では凄惨な殺人劇が起きていた。岡田の元同級生で酷いいじめを受けていた森田正一は突発的で理不尽な殺人を行いながらユカに目をつけつけまわすようになり、徐々に岡田たちの日常を侵食し始める。
原作漫画とこの映画は、(特に後半の)ストーリが違います。 監督が意図してそうしたようです。
漫画の映画化は、原作と映画、どちらが良かったか、という話が必ずあると思いますが、 個人的には残念ながら漫画のほうが格段に面白かったです。 まあ時間の制限や映像化の限界もあるのかもしれませんけど、、、テーマ的にもちょっと映画は物足りないかなと。
原作では、いじめの他にも、社会的弱者や病気についてもテーマとして触れています。
「たまたまオレの普通がみんなと違ってただけでさ・・・足が速いとか・・・歌がうまいとか・・・」
「運悪く普通じゃなくなった人もいっぱいいるのに そんな人に病気って言ったら可哀想だろ?」
世間一般に言う「普通から逸脱した人」は、病気なのか。他者を傷つける病人に救いはあるのか、 普通以上に日々冴えない生活を送っていた主人公は、病人ではないのか。 そういう多くの人が避けている境界線を、この漫画はテーマとしてます(個人的にはそう思います)。
それが、この映画だといじめだけになってしまってます。 いじめが悪魔を産んだ的な。そのいじめを止められなかった人間にも罪はあるのか。みたいな。 なんていうか、ACのCMみたいなテーマなんですよ。こういうテーマだってそりゃ道徳的には大事だと思うんですが、 原作の魅力は一気に下がってます。しかもこういうテーマの変更によって、ストーリにも矛盾が生じてるんですよね。 森田と岡田の過去が後半になってわかるんですが、それを知ったら、「え、なんでじゃあ最初、そんな接し方できるの?」と。
確かに森田剛の演技は良かったです。ノーカントリーのシガーみたいな、絶対的な狂気とは違う、 人間らしさも兼ね備えた狂気が素晴らしかった。
他の俳優も全然悪くなかったです。ただ実写であの原作のノリやられるとちょっと寒いかなあと。 殺人描写もR15だけあって、なかなかエグかったです。
総括
残念ながら原作に軍配です。でも、頑張ってました。
映画を観た人は、原作を読みましょう。 映画を観てない人は、後でも先でもいいから原作を読みましょう。
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