アイアムアヒーロー（少しネタバレ）　和製ゾンビ映画の良作

花沢健吾原作の漫画で、この人の漫画は

を読んだことがあるんですが、どれもモテない男が主人公なんですね。この人自体、そういう経験やトラウマがあるのかなあと。特に面白いのが「ルサンチマン」。バーチャルの世界でモテようとするっていう完全に現実逃避モノなんですが昨今VR元年とか言われてましけど、完全に先駆けなんですよ。 HMD装着して、触感をフィードバックする全身スーツ着て、局部にTENGAみたいなのをパイルダーオン！っていう。ホリエモンがルサンチマンプロジェクトやってまたよね。

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さて、映画なんですが、簡単なあらすじとしては、

漫画家を目指すアシスタントの鈴木英雄（すずきひでお）は、同棲する恋人・徹子とは破局寸前の状態である日謎のウィルスが流行、噛まれるとZQNという感染者が生まれて街は大パニックに・・・。

と言った感じです。

日本のゾンビ映画って、正直あんまり観てないんですが、コメディが多いなあというイメージがあって、本作のように真面目にトライした映画って貴重なのかなと思います。それだけで、見る価値ありなんですが、実際に、ZQN描写は個人的には大満足でした。まず造形が素晴らしいです。メイクしてんなー感はなくて、こいつ人間じゃなくなった感が出ていてGOOD。これは、GANTZに出てくる異星人ぽさはあるんですが、監督の佐藤信介さんは、実際GANTZも撮ってるんで、影響はあったんでしょう。特に、個人的には徹子演じる片瀬那奈の、文字通り体当たり演技。 ZQNになる時の演出も良くて、郵便ポストの狭い空間から覗くシーンは第三者として安全な領域から見てると思わせつつ実は当事者だったっていう、Jホラー（つかリング）な表現。からの、異常で奇形な身体はエクソシストだし、顔はゾンビだし。容姿を売ってるはず？の女優がここまで変貌するのは、事務所の許可とか大変だったのかなあとか勝手に思っちゃいましたけど、ZQNになった片瀬那奈を顔面ドアップ、ケツアングルで撮り切ったことは素晴らしいです。

と、なんかZQNの視覚的な評価ばっかですけど、本当個人的にはもうこれで十分おすすめできます。

なので、おすすめ前提で、以下は残念だった点。

ZQNのパワーバランス

徹子ゾンビがかなり強く、その後出てくるゾンビの中で強いゾンビもいるんですが、殆どがトロくて即死するゾンビです。なんでその強弱が生まれるのかはよくわかりません。本作の最後でボスキャラが出てくるんですが、その人はまあなんとなくわかるとしても、徹子がなんでそんな強いの？という疑問はわきました。

歩くゾンビか走るゾンビか

ゾンビには、2種類あって、「歩く」か「走る」かです。本作は、両方出てくるんですよね。先に述べたパワーバランスと同じようなことですけど、どっちかはっきりしないと、演出のために走らせたり歩かせたりしてるんじゃないか？と勘ぐってしまいます。

都合がいいストーリー

こういうシーンを撮りたい、っていうのが先にあるんでしょうか。矛盾してる場面が何点か出てくるんですよね。最初は静かだったモールなのに、数分後にはZQNがめっちゃいる、とか。いやいや、どっから湧いてきたんだよみたいな。その他、ああこういうシーン撮りたかったんだなあっていうのはなんとなく感じられるんですが、そこに持っていくまでの展開をもうちょっと工夫できなかったのかなとは思いました。